明日葉(あしたば)とは?
明日葉とは、日本原産のセリ科シシウド属の多年草で、にんじんやセロリといった被子植物の1つであり、野菜の王様といわれるほど栄養価が高いものです。
古くから「不老長寿の薬」とされ、江戸時代では死亡率が高かった「天然痘」の感染予防、現代では健康食品として親しまれています。
明日葉は、太平洋岸で自生する植物となっていて、苦味が多い「赤茎」の伊豆諸島系と、食用に向いている「青茎」の八丈島系、この2つに分かれます。
その中でも、八丈島系は天ぷらや和え物の他に、青汁の原料としても使用されています。
大きな特徴として、明日葉にしか含まれない「カルコン」、せり科共通の「クマリン」があり、ほか、ビタミン群、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。
「カルコン」は美容と健康維持に役立つ成分が入っており、肥満や糖尿病といった、多くの生活習慣病対策にも効果が見込めます。美肌効果では、「クマリン」やビタミン類が活躍し、ダイエット面では、食物繊維とカルコンが有効成分となります。
香りにクセはあるものの、美と健康の為には、ぜひ摂取しておきたい野菜と言えます。
明日葉だからこそ得られる「効果」と「効能」について、以下から詳細を確認していきましょう。
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明日葉に含まれる成分と作用・効果
明日葉に含まれる、代表的な成分と作用は以下の通りとなります。
成分名 | 作用 |
---|---|
カルコン |
明日葉だけに含まれる栄養素。抗酸化作用とセルライト解消に優れており、血栓予防や美容・健康維持に役立つ。 |
クマリン |
セリ科の植物に含まれる栄養素。抗酸化とむくみ改善に加え、抗血液凝固作用を持っている事から、血栓防止薬にも活用されている。 |
ビタミン群 |
20種類以上のビタミンが、美容と健康をサポート。ビタミンB12が不足すると「悪性貧血」を起こすが、植物中に含まれるのは明日葉のみ。 |
ベータカロテン |
体内でビタミンAに変換され、主に夜盲症、発ガン性、黄斑変性症の予防に役立つ。 |
ミネラル類 |
カリウム、カルシウム、鉄、リンなど、ごく少量でも生理機能に重要な作用をするミネラル類が豊富。 |
食物繊維 |
新陳代謝とお通じに作用する為、便秘やダイエットにも効果的。 |
明日葉にしか含まれない「カルコン」の驚く効果
明日葉の葉や茎に含まれる黄色い汁。これが「カルコン」の成分で、老化を防ぎながら美肌に導く、ファイトケミカル(ポリフェノール類)の一種となっています。
抗酸化から動脈硬化の予防、脂肪燃焼にも優れている為、肥満や糖尿病など、生活習慣予防にも効果的な事から、今後も注目される成分です。
糖尿病の方々にカルコンを3カ月摂取させると、「アディポネクチン」の数値が、摂取していない人と比べて、3倍近く増加した実験結果もあります。ホルモンの1種であるアディポネクチンは、体の脂肪細胞から分泌されるもので、血糖値や血圧の減少、脂肪燃焼の促進、さらに動脈硬化を予防する力を持っています。
ほか驚く事に、発ガン性物質を抑える、抗潰瘍、抗血液凝固、末梢血管拡張作用など、多くの症状改善にも期待されています。
これらの事から、カルコンは「美と健康の万能薬」として摂取しておきたい成分と言えます。
血液をサラサラにしてむくみを改善する「クマリン」
クマリンはセリ科に共通する栄養素です。
抗菌、抗酸化、血栓防止など、カルコンと似た作用を持っていて、特に血液の流れを良くします。
抗菌においては、「悪い細菌の増殖」を防ぐだけでなく、死滅させる力があります。セリ科特有の、「クセのある香り」はありますが、むくみや肌の老化に悩む方は、しっかり摂取しておきたい成分です。
ただし、長期の過剰摂取をした場合、肝機能を弱める副作用があるので、1日5mg(体重が50kgの場合)の摂取で抑えましょう。
バランス良く含まれるビタミン・ミネラルにβカロテン
明日葉は、ビタミンACE(エース)に始まり、ビタミンB群、ビタミンK、ミネラル類(カリウム、カルシウム、鉄)などの宝庫となっています。
ビタミンの中でも抗酸化と免疫作用の高い「A・C・E」は、美肌と健康に役立ちます。
ビタミンB群では、パンやごはん等の糖質の分解を助けるビタミンB1と、細胞の再生を促すビタミンB2が含まれます。
「ビタミンB12」は、不足すると悪性貧血を引き起こすもので、植物では明日葉にしか含まれません。その為、肉食を避けるベジタリアンの方や、明日葉以外の野菜が中心の方は、ぜひ摂取しておきたいものです。
ビタミンKは、血液凝固の促進をしながら抑制してくれるもので、血液が固まり過ぎるのを抑える事で、血栓防止に役立っています。
「少量だけでも体に必須」とされるミネラル類では、高血圧やむくみに効くカリウムの他、カルシウム、鉄、リンが含まれています。
ベータカロテンは、強力な抗酸化を持つカロテノイドの一種で、夜盲症、発ガン性、黄斑変性症の予防に役立ちます。現代人に多いドライアイ、視力低下にも効果的で、目に効く栄養素と言えます。
体内に入るとビタミンAに変わりますが、必要な分だけ変換されるので、過剰摂取も心配もありません。
これだけ多くのビタミン・ミネラルが、明日葉の中には詰まっています。
食物繊維は糖尿病やダイエットに良い効果をもたらす
明日葉は、食物繊維が「100g当たり5.6g」含まれており、食物繊維の代表と言われている『ごぼう』に比べ、1.7倍も多く含まれています。
食物繊維は、消化されず大腸まで運ばれますが、不足していると機能不全を起こし、多くの体調不良を引き起こします。糖尿患者の方に見られる、コレステロールの増加、血糖値の急上昇などは、食物繊維の不足によって起こる、代表的な症状です。
便秘解消のイメージも多いですが、食物繊維は消化官内で膨らむため、食べ過ぎ防止にも役立ちます。
つまり明日葉は、便秘気味の方だけでなく、過食症やダイエット中の方にもおすすめです。
明日葉の効果、効能まとめ
明日葉は、美と健康をサポートする野菜で、多くの効果・効能を得られます。
また、「カルコン」の抗酸化と脂肪燃焼の作用、「食物繊維」の含有量が群を抜いている事から、ダイエット目的や生活習慣病に悩む方、野菜不足を感じる方にも向いています。
しかし、伊豆諸島の特産品であることから、お住まいの地域によっては購入が難しく、通販でも200gあたりで400円以上すること、シーズンや収穫状況によっては手に入らない事があります。
また、明日葉を直接摂取する時は、肝臓機能を弱めるリスクを回避する為、1日5mg(体重50kg)以下に抑えましょう。
明日葉の上手な選び方
明日葉の旬は2月後半〜5月までとなっていて、古くなると色あせ、黄色味を帯びてくるので、緑が鮮やかで濃い色のものがオススメです。
また、茎がしなやかだと、鮮度が良いと判断できます。
明日葉のレシピ・美味しく食べる方法
明日葉を簡単な調理で食べると、味は「くせがある」レベルを超えていて、ゴーヤより苦く渋みもあるというのが実情です。そこで、油と合わせると苦みも消えやすくなるので、天ぷらや炒め物などがおすすめです。
油分が食材に膜を作って和らぎます。渋み対策はたんぱく質、卵や豆腐、鰹節や肉類と合わせると感じにくくなります。
特有の匂いもありますが、過熱して飛ばしてしまう事です。茹でる、炒めるといった調理方法が良いでしょう。
これらの基本を押さえたうえで、レシピをご紹介しましょう。
明日葉とイカの肝炒め
参考画像元:cookpad:イカの肝炒め
材料
・明日葉 1束
・イカの肝と足とエンペラ 1本分
・バター 1欠片
・胡椒と醤油 少々
作り方
- 明日葉はざく切りに、イカの足と肝を取り分け、足を適当に切る。
- フライパンにバターを入れ、イカ、明日葉の茎、明日葉の順で投入。
- 胡椒して醤油を掛ける。
肝と醤油とバターが、明日葉の苦味も渋みもうまく消えるので美味しいですよ。
明日葉チャーハン
参考画像元:cookpad:洋風!明日葉チャーハン!!
材料
・明日葉 150g
・ご飯 適量
・ニンニク 1辺
・醤油 大さじ3
・サラダ油 大さじ1
作り方
- 明日葉は1p程に細かく切る。
- フライパンにサラダ油を熱し、ニンニク、明日葉を炒める。
- ご飯を入れて混ぜ合わせ、塩コショウで味を調整する。
さっと作れてしかも美味しいです。
明日葉としめじの胡麻燻製味噌和え
参考画像元:楽天レシピ:
あしたばとしめじの胡麻燻製味噌和え
材料
・明日葉 3束
・しめじ 1/2株
・燻製味噌 大さじ1
・みりん 大さじ1
・黒すり胡麻 大さじ1
作り方
- 鍋にお湯を沸かし、明日葉を表15秒、裏返して15秒茹で、ざるで30秒蒸らす。
- 流水でさらしてから水気を切り、2p幅に切る。
- なみなみにお湯を沸かし、石突きを落としたしめじをほぐして入れ、1分茹でる。
- ざるにあげ、流水で冷まして水気を絞る。
- ボウルに燻製味噌とみりん、すり胡麻を合わせてしっかり混ぜる。
- しめじ、明日葉を入れて和える。
明日葉に含まれるビタミンCは熱で壊れやすいですが、水溶性なので油には溶けにくく、3分程度炒めてもあまり減りませんし、茹でても今回のような短時間なら問題ありません。蒸すのはほぼ問題ありません。
明日葉の青汁も同じ効果が期待できる
明日葉の青汁は、栄養素を壊さない製法で粉末にしている為、明日葉を食べた時と変わらない効果が見込めます。
ただし、生食では強いクセを取り除くため、調理に手間が掛かるので、コンスタントに続けたい方は、飲みやすい青汁が向いています。
青汁の商品でお勧めできるのは、明日葉を含む5種の野菜が原料となっている、「サンスター粉末青汁」です。バランス良く栄養補給も可能で、安全性も高いことで定評があります。
対照的に明日葉粉のみというのが、八丈島産の「明日葉100%パウダー」です。牛乳や豆乳、ヨーグルトと混ぜると、さらに飲みやすくなります。
明日葉の副作用とお勧めできない人
明日葉を大量に摂取すると、フロクマリンという成分の悪影響で、日光アレルギーを起こすことがあります。
症状は腫れ、かぶれ、湿疹などです。生ものでは大量摂取にまで至りませんが、青汁だと摂取しやすい為、お気を付けください。
また、心筋梗塞・脳梗塞・各部位の血栓で、服薬中の方は、明日葉のビタミンK(血液凝固作用がある)と、ワーファリンという治療薬(抗血栓作用)が打ち消しあって、薬が効かなくなることがあります。大量摂取によってしか起こらない事ですが、心配される場合は、かかりつけの医者へ相談してから、摂取するようにして下さい。
まとめ
明日葉はダイエットや生活習慣病など、多くの健康と美容に役立つという事、そして、様々な調理方法がある事が分かったかと思います。
栄養価が高い反面、香りにはクセがあるので、調理に手間はかかりますが、しっかり栄養素を摂りたい方にはおすすめです。
ただ、調理する時間を作れない人は、粉末化された明日葉の青汁を飲む方法もあります。忙しい中でも、水でサッと溶かして、苦味を感じることなく飲めるので、手間をかけず効率的に栄養摂取が出来きます。
明日葉の栄養が粉末化されているにも関わらず、手軽な値段で購入できるので、どれだけ効果を実感できるのか、一度試してみるのも良いでしょう。
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明日葉を茎ごと丸ごと使用しているので明日葉の有効成分が豊富な点が魅力。大麦若葉と桑の葉の2種類も含まれているのでバランスも良い。抹茶風味に仕上がっている為、お子様でもお年を召した方にも飲みやすいと評判。
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